【工具鋼Gr】HCPダイテックSection 熱処理 久保峻也

HCPダイテック熱処理センターで働く久保峻也さんにインタビュー!

「熱処理の工場」と聞くと、油汚れや騒音がひどい、といったイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、山一ハガネの熱処理事業部であるHCPダイテック熱処理センター(工具鋼Gr HCPダイテックSec. 熱処理)は、驚くほど静かでキレイな熱処理工場となっております。

この"Silent & Clean"を特徴とするHCPダイテック熱処理センターで働く久保峻也さんに、熱処理センターで日々行っている業務の内容や部署の雰囲気などについて尋ねてみました!!

入社してからどんなことをされてきましたか?


入社したばかりの頃は、主に製品の受け入れと熱処理硬度測定の仕事をしていました。熱処理の業務とは、お客様から金型製品を預かり、焼き入れ・焼き戻しという加工を行うことです。まず、お客様から預かる金型は、夕方3時過ぎから5時ぐらいの間に入荷されます。そうして受け入れた金型をその日の夜にかけてバスケットにセットし、炉に入れて焼き入れを行います。夜間に焼き入れした製品は、翌日の早朝勤務の社員が取り出して中間検査を行い、変形しているものがあれば矯正作業を行います。次の1回目の焼き戻しの時にその矯正した製品を炉に入れるところまでが、朝の仕事です。それが終わった後は、設備点検や治具の管理などの作業を行っています。

午後は、早朝に熱処理炉に入れた焼き戻しの1回目の製品を取り出して、冷却後に硬度検査をしてショットブラスト(表面を仕上げる加工)で製品を綺麗にしていきます。その後、2回目の焼き戻しのために炉に入れます。そしてまた夕方になって、新しくお客様から預かる金型が入ってくる、というのが一連の作業の流れです。先輩からの指示で動くこともありますし、自分からできることを見つけてその作業に移ったりと仕事は様々です。

僕は山一ハガネに入社する前は完全にデスクワークでしたので、現場仕事自体が初めてで、熱処理の知識は皆無でした。ですから入社当初は、先輩から丁寧に熱処理の説明を受けたときも、まったく何を言っているかちんぷんかんぷんでした(笑)。入社1年後くらいからは、違う時間帯のシフト勤務にも加わり、一通りの流れを学んで熱処理の知識やカン・コツ部分にもやっと慣れてきたところです。

入社当時と比べてどういうところが成長したと思いますか?また、どんなときにそれを感じますか?

できる仕事の幅が着々と広がっているというのは、感じています。入社当時は道具の使い方も分からない上、クレーンの資格も持っていなかったため、仕事の幅が狭かったのですが、OJTで道具の使い方を学びまた講習に通ってクレーンの資格も取得しました。

さらに早番や遅番など別の時間帯のシフトにも入るようになって初めて、最初から最後までの熱処理業務の流れを把握して、自分でしっかりと業務をこなせるようになりました。その分見える範囲も広がったので、悩むこともありますが、視野が広がってできることが多くなったということについては、成長を感じているところです。

今の仕事にやりがいは感じますか?

自分の携わった仕事が、すぐに結果として表れるところにやりがいを感じています。

例えば焼き入れ工程で、自分で考えてバスケットにセットした金型が、翌日出勤したときに矯正されているのを見ると「あのセットのやり方はダメだったんだな」と思いますし、逆にいい結果だったら「あのやり方で良かったんだ」という自信になります。


熱処理は、機械加工のように「形が変わるモノづくり」ではありません。例えば機械加工は元の素材の形を変えて金型ができるわけですが、熱処理はその工程を経ても、もちろん中の材料組織は変わりますけど、別に見た目が変わるわけじゃない。だから、熱処理は見た目に変化が表れない分、金属加工の中ではマイナーな分野かなとは思います。

とはいえ、熱処理は「鋼に命を吹き込む」という大事な工程ですし、熱処理を加えないとそもそも製品として成立しない、なくてはならない仕事です。だから僕は、その「鋼に命を吹き込む」という大事な工程の仕事を任されているのだと思っています。熱処理は一品一様で、すべてがうまくいくわけではないのですが、毎回、結果のフィードバックが得られ、自分で考えて改善していくことで少しずつ上達しているように感じています。

熱処理は、このように奥が深いからこそ面白いです。また、今までの熱処理作業で「このやり方をするとこの硬度」という結果が、「なぜそうなるのか」という答えに結びついた時にも、面白さとやりがいを感じます。

将来、自分がどうありたいと思いますか?

仕事ができるだけでなく知識があり、さまざまな観点を合わせて考えられるような人でありたいです。例えば、営業の人やお客様に相談や質問をされたときに、きちんとした説明や回答を返せるようになりたいです。

最近、上司から座学を学ぶ機会があったのですが、目に見えないところで材料の組織が変わっていることなど、多くの驚きや学びがありました。今までやってきた仕事の中で、金型が歪んだりとか曲がったりとか、そうなるメカニズムがちょっと理解できて、実務での経験と座学での知識が結びついた瞬間が面白いなと思います。僕はそういった話を聞くのが好きなので。熱処理は難しいからこそ奥が深く、将来は熱処理だったら僕に任せろという風になれたらいいなとは思います。

入社を希望する方へのメッセージをお願いします


自分で考えた結果が目の前できちんとした製品として出てくるので、それを見て、自分でその次どうしようかと考えて改善していける人が成長できるような場所であると思います。それが楽しいと思える人なら、おそらくうまくいくのではと。

雰囲気も良くフレンドリーな職場ですし、部署には外国籍の同僚もいるけど、コミュニケーションは普通にとれるし、冗談も言い合える仲です。こだわりをもって仕事をしている先輩も多いですし、すごい熱血に教えてくれる方もいますので、環境は非常に整っていると思います。学ぶことが多い仕事で、頼りになる先輩もいるので、そういった環境で自らどんどん改善していける人が来てくれたら嬉しいです。


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