【事業開発グループ】事業開発セクション マネージャー 小林祐太

事業開発グループにおける営業の仕事を教えてください


事業開発グループ事業開発セクションとは簡単に言うと、山一ハガネの次の商材や事業になりそうだなというところに一番初めに種をまき、それを育てていくためにある部署です。

これは既存の基幹事業が成長していないということではなく、時代の変化や流れと共にこれからの新しい事業を開拓し種をまき、芽をださせ育てていく必要があるからです。そのために、基幹事業の生産材や工具鋼という枠にとらわれず、成長していきそうな分野や山一ハガネの社員に還元できそうなこれからの事業に新たに挑戦していく。それが事業開発セクションの仕事だと思っています。

現在、事業開発セクションが主に関わっているのは、AM(アディティブ・マニュファクチャリング )※注1事業です。最初のきっかけは、山一ハガネに新しい基幹事業を作る目的で、3Dプリンターのビジネスを始めたことです。山一ハガネの3Dプリンター部門としては、材料から設計、製造、最終的な仕上げ(マシニング・レーザー・塗装)まで一貫して自社で完結するという、ファクトリーモールの精神で全ての工程を手掛けて行っています。ですので、事業開発セクションの営業部門は主にAM関係の営業活動を行っています。

とはいえ、現在はAM関係の仕事の比重が高いですが、AM事業が軌道に乗ってきた暁には、事業開発グループから切り離されひとつの部署になり、私たちはまた別に新たな成長できそうな種を見つけて活動を行っていくと思います。新しい人とのコミュニティを作ったり、新たな事業を作るというところを任されている。それが私たちの営業部門です。

自分たちが蒔いて育てた事業を別部署に引き渡していくことについては、その先をやってみたかったという思いもありますが、先駆者利益というか、山一ハガネの中で自分たちが最初の第一歩を作ったというところにやりがいを感じますし、新しいことにチャレンジできる楽しみがあるところがこの部署の面白いところですね。

※注1:AM = Additive Manufacturingとは、3D積層造形のこと。

AM事業は、どのような場面で世の中の役に立っていますか?


世の中の役に立っているのかまだわからないですが、大それたこと言うなら、日本の産業で一番弱い部分をやらせてもらっているという思いはありますね。

日本の大量生産の技術力は高いので、今後も従来の製造業のモノづくりのやり方を続けていく必要はあると思っています。ですが、ローコスト化が図られている中、どんどん海外での生産に移っていて日本でのモノづくりが少なくなっていると思います。その中で、これからの日本で必要とされる、新しいモノづくりのあり方や生産方法である、多品種少量生産の新たな技術の第一歩のような部分を始めさせてもらっている。そんなところが、AM事業が世の中に貢献している部分ではないでしょうか。それは【なぜハガネ屋がAM(Additive Manufacturing)事業?!】という過去の取材記事にも繋がっているところです。

大量生産の産業においてもその量産のやり方を否定することなく、例えば、量産する機械に使われている一部のパーツ品を3Dプリンターで製作するといった面でAM技術が貢献できる部分があると思っています。

これからの3Dプリンターに関連しては、ほぼ全てのことにアンテナを張っていきたいと考えています。インテリアも然り、建築関係など全てです。今後、更に多様化していくお客様の要望、例えば自分好みのカスタマイズに応えるなど、そうした「モノづくり日本」のこれからを支える新しい技術として、AM事業が活路を見出して世の中に貢献していくのではないかと期待しています。

事業開発グループの仕事で、海外と関わることはありますか?


大いにあります。AM事業で関わりが深い国は、フランスとアメリカとドイツです。フランスは、山一ハガネで以前働いていた社員がフランスで起業していて、ソフトウェアの“Cognitive Additive”※注2の関係で関わりがあります。アメリカは、部品や製品の付加価値を追加するための設計ソフトウェア “nTopology”※注3の販売を、日本の販売店として山一ハガネが行っていますし、ドイツとは3Dプリンターの機械で関わりがあります。それぞれ定期的にWeb会議を開催していて、会議は全て英語で行われます。ビジネスの話をするのに英語は必須ですね。

また、M&Aと言うと言いすぎですが、この会社と手を結んだら新しい事業が生まれそうだということがあれば、人材関係も含めて国内外を問わずアライアンス関係を築くことを提案することもあります。他にも新たな種まき、開拓・拡大などの調査で海外出張をすることもありますから、海外と関わることが多い部署だと思います。

※注2:Cognitive Additiveとは山一ハガネが開発した3D設計診断ツールソフトウェア。詳細は、過去の記事【Cognitive Additive(コグニティブ・アディティブ)が叶えるモノづくりの革命】を参照。
※注3:nTopologyの詳細については、過去の記事【nTopologyってなんだ?】を参照。

小林マネージャーが考える今後の山一ハガネの夢を語ってください


いずれは生産材や工具鋼、事業開発という部署の垣根をなくして、山一ハガネが作っている、手掛けているもの全てを、どの営業も販売していく仕組みになればいいなと思います。現在は、営業が所属部署の商材以外はなかなかお客様にご提案できていない部分があります。元々私は、基幹事業である工具鋼の部署に営業として配属されていました。そこで経験を積み知識をつけ、現在は事業開発セクションを任されています。事業開発での営業活動でも、工具鋼グループで学んだ知識や経験が活かされていますし、全てが繋がっています。

営業としてはそれぞれに専門性があるので難しいかもしれませんが、今後は山一ハガネの商材の知識や経験を全て身に付けて営業活動に活かし、全ての商材を部署の垣根を超えて営業全員で販売していく「オール山一」をみんなで目指していきたいですね。

あとは、日本の大手企業のラインナップに残れるようになりたいです。大手企業じゃなくても、例えば、中小企業番付でみんなが憧れる会社ランキングに入ってほしいですね。そのためには、山一ハガネの何が注目されてもいい。事業開発グループが携わっているものでなくても、生産材でも工具鋼でもCASTの表面処理技術でもいい。その注目されたものが、フィギュアスケート選手の足元を支えている自社製品のYS BLADES(YSブレード)で、「山一のYS BLADES(YSブレード)が世間を沸かした」ということでもいい。その効果で旋風を巻き起こして、大手企業のラインナップに残る一つの要素になれば、山一ハガネが自社製品の開発を始めた意味の一つにもなりますし、自分が直接携わったものではなくとも夢がありますよね。

あとこれは、社長の考えでもありますが、「お客様の望むものなら、なんでも売って来なさい」。私もそう思っています。山一ハガネは商社ですので、売れるものがあれば何でも売っていくべきだと思います。社名に「ハガネ」が入っていますが、あくまで呼称であって、山一ハガネが「ハガネ」を売っていなくてもいい。何を売っていても、世の中で必要とされるものであればいい。それに山一オリジナルを加えて、山一ハガネなりの付加価値を付けられたらベストかなと。そう考えてみると、その付加価値を見つけ出すことこそが事業開発グループの仕事なのかもしれませんね。

事業開発グループ 事業開発セクションでは、子育てと仕事の両立はしやすいですか


休業の期間にもよりますが、部下には育児休業を取得してもらって問題ないですし、むしろ歓迎します。その間は私がフォローを頑張りますし、他部署にも協力してもらえる部分があれば、みんなでカバーしていきます。

ただ、私個人の話で言うと、ちゃんと両立できているというよりは出来る範囲でやっています、というところでしょうか。この部署は展示会も出張も多いですし、マネージャーというポジション的に責任の問題にもなってくるので、私が率先して育児休業等を取得するというのはなかなか難しいところです。ですから、日々定時に帰って家庭と両立できていますとは、自信をもっては言えないのが現状ですね。

でも、仕事を頑張れる秘訣と言えるほどではないですが、子供や家族がいるっていうのはいいなと、最近改めて思います。仕事で凹むことや悔しいことがあったときに、家に帰って子供と接すると何か働く目的やモチベーションを感じるというか、やっぱり家族っていいなって。その空間だけ一瞬、仕事と切り離されるというか。家族の存在って、本当に大事だなと思いますね。


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