サイン&ディスプレイショウ2025出展レポート―3Dプリンタでアイデアをカタチに、想像は創造へ

山一ハガネのAM(Additive Manufacturing)事業部では、自社開発3Dプリンタ「3IxD(スリーイクシット)」を核に、最適化設計・造形・塗装までをワンストップで対応。お客様の「こんな表現ができたら」「このデザインを形にしたい」といったご要望に、高品質なモノづくりでお応えしている。
2025年10月に開催された「サイン&ディスプレイショウ2025」では、AM技術による自由度と再現性の高さを活かしたサイン&オブジェを多数展示。
本レポートでは、展示事例を通じて当社独自のAM技術が可能にしたサイン&オブジェの進化を項目別にご紹介。
立体絵画:立体陰影×多色インクジェット印刷が可能にした新たなレリーフ表現


<概要>
平面の画像データをレリーフ(立体)化し、立体面へ多色インクジェット印刷を施すことで、従来は難しかった“立体の陰影とフルカラー表現の両立”を可能にした立体レリーフ。
<従来の課題>
・ 多色表現には分割・マスキング・塗装の繰り返しが必要で工数が膨大
・ 職人作業に依存し、コスト・納期・品質の均一化に限界があった
<打ち手/技術のポイント>
・ 当社独自技術で平面画像をレリーフ(立体)化、狙った立体感(陰影の出方)をコントロール
・ 凹凸面へ多色インクジェットを直接印刷
・ ワンパスで多彩な絵柄を再現、手作業工程を削減し短納期と品質安定を実現



<想定用途>
美術展示/公共施設のアート装飾/企業向け意匠パネル など
複雑形状サイン:従来は不可能だった“ねじれ・結び目・細身曲面”などをカタチに




<概要>
3Dモデルをもとに、ねじれ・曲面・結び目などの複雑形状を高精度に造形。デザイナーが諦めていた“手加工では再現不可能だったフォルムをデザイン通りに実現”。
<従来の課題>
・ サインで多用されるアクリル板は曲げられる形状に限界があり、デザインに制限があった
・ R形状や複雑曲面は職人依存になり、高コストになりやすい
・ 重量が増すと固定具やネジ位置の制約が強まり、意匠(留め具を見せない等)が崩れやすい
<打ち手/技術のポイント>
・ 3Dプリンタで複雑形状を一体造形し、ねじれ文字・結び目構造・極細Rまで高精度に再現
・ 樹脂材料と最適化設計による軽量化で、取付け方法の自由度と安全性(落下リスク低減)を両立
・ 3Dモデル基準のため、サイズ変更やバリエーション展開、同一品質での量産が可能


デザイナーが諦めていた“夢”のカタチを高精度に再現


アクリル板では実現不可能な形状も当社AM技術なら自由自在
<想定用途>
商業施設の立体ロゴ/展示会・イベント装飾/店舗サイン/デザイナーズサイン など
ピクトサイン:軽量化と“ネジを見せない取付け”で、空間に同調するサインへ

<概要>
トイレ等で使われるピクトサインを、樹脂3Dプリンタ造形により軽量化しつつ、“外からネジやブラケットが見えない取付け構造”で仕上げたサイン。壁面と同調させ必要な情報を美しく際立たせる。
<従来の課題>
・ 厚みと重量があり、落下防止のL型ブラケットやネジ固定が露出しやすい
・ 固定部が見えることで空間デザインを阻害
・ 小型ピクトサインの需要が増える一方、従来工法では取付制約がネックに
<打ち手/技術のポイント>
・ 樹脂3Dプリンタ造形でサインを大幅に軽量化(アクリル比1/2以下)し、安全性・施工性を向上
・ 軽量化によりL型ブラケット不要でノイズ要素を排し、デザインの意図を保てる
・ 壁面柄の転写や複数サイズ展開にも対応し、壁面と同調したサインを実現

軽量化によりL型のブラケットが不要

ブラケットへの柄転写で壁面と同調
<想定用途>
商業施設・公共施設のトイレ/案内ピクト、大規模施設の動線誘導用小型サイン、デザイナーズサイン など
リクツーナ:付け替えが簡単なのに“勝手には外せない”ロック機構付きサイン


©YOSHIDA ADVERTISING CO., LTD
<概要>
病院・学校などで部屋名や担当変更が発生する現場向けに、表示プレートを簡単に差し替えできる機能性サイン。“管理者のみが扱えるロック機構で、利便性といたずら防止を両立”。
<従来の課題>
・ 部屋名変更のたびに、ネジ留めや強力両面テープの再施工が必要で手間がかかる
・ 固定部が露出しやすく、“優しい外観”や空間のデザイン性を損ねやすい
・ 簡単に外せる仕組みだと、いたずらや誤取り外しのリスクがある
<打ち手/技術のポイント>
・管理者だけが解除できる独自ロック機構(特許出願中)で「交換は簡単/勝手に外せない」運用を実現
・ R形状を活かした造形で空間にやわらかく馴染む意匠を確保
・ 表示プレートを短時間で差し替え可能で、運用負荷を大幅に軽減




特許出願中のロック機構で「交換は簡単/勝手に外せない」を両立
<想定用途>
病院の診察室・病棟サイン/学校の教室・施設表示/公共施設の案内サイン など
銘板:当社独自の塗装技術が実現する金属感で、表現領域を拡張

<概要>
手作り銘板の再製作困難や盗難リスクに対し、“独自の塗装技術で金属調を再現”した銘板表現。
<従来の課題>
・ 橋名板などは職人の手作りが前提で、製作に時間とコストがかかる
・ 銅など価格の高騰により、銅製橋名板の盗難リスクが増加、盗難後の復旧も大きな負担
・ 手作りゆえ盗まれた場合に“同じ意匠で作り直せない”ケースが発生
<打ち手/技術のポイント>
・ 3Dモデルをデジタル管理することで、盗難や破損時も同一意匠を安定して再製作できる
・ インクジェットが苦手とする金・銀などの金属調も独自塗装技術で補完し意匠の幅を拡張
・ レーザー文字抜き/特殊マスキングを組み合わせ、凹凸面でも金属感を高精度に再現

凹凸面の金属感を高精度に再現

独自塗装技術で金・銀などの表現も可能に
<想定用途>
橋名板/銘板/記念プレート/公共施設サイン/案内板 など
巨大オブジェ:大型オブジェを“製品として直造形”し、意匠と生産性を両立

<概要>
従来は原型→型取り→FRP成形が必要だった大型オブジェ製作を、“当社のAM技術で型不要でダイレクトに造形”。納期短縮とコスト削減を実現。
<従来の課題>
・ 巨大オブジェは原型制作や型取り、FRP成形など工程が多く、職人依存で時間と膨大なコストがかかる
・ 手作業中心のため再現性に限界があり、同一形状の再製作や量産、サイズ展開も困難
・ 形状が複雑になるほど工程負担が増え、意匠の自由度が制約されやすい
<打ち手/技術のポイント>
・ 3Dプリンタで製品を直造形し、原型・型取り・FRP成形を省略して制作時間を大幅削減
・ 3Dモデルで造形するため、同一意匠の再製作やサイズ違い展開もスムーズに対応
・ 多様な塗装技術で布や動物の毛並みまで再現
・ 目安として最大1.5m程度まで対応。それ以上の大型も要相談で対応

3Dモデルでサイズ違い展開も自由自在

「植毛塗装」で毛並みまで再現
<想定用途>
公共空間のキャラクターオブジェ/観光・地域PR用モニュメント/イベント展示の大型造形 など
木目調ディスプレイ:超微細造形と木の質感表現で空間を演出

<概要>
“塗装×レーザーで木の質感を再現”、1mm以下の微細造形による組子意匠や切り株オブジェなどで、自然の世界観を演出。
<従来の課題>
・ 組子細工のような繊細意匠は職人依存の技術で後継者不足もあり、製作に時間がかかる
・ 屋外で本物の木を使う場合、腐食や劣化が避けられずメンテナンスや交換が必要
・ 繊細さと自然素材の質感を両立したい場合、安定供給や長期運用が困難
<打ち手/技術のポイント>
・ 山一ハガネ製3Dプリンタ「3IxD」の微細造形により、職人技の組子パターンをデータどおりに再現、安定品質で供給可能
・ 塗装とレーザーで木目・樹皮の表情を刻むことで、“本物の木に見える質感”を再現
・ 樹脂素材と耐候性塗料により屋外で10年の耐候性(実績:自動車外装部品)※を実現、メンテナンス負荷を抑えつつ木の質感を長期維持
※色調により退色具合が異なるため内容により応相談

薄い微細造形により筒状に「曲げられる」組子細工も可能
<想定用途>
展示会・イベントの空間ディスプレイ/店舗・施設什器/プロモーション用オブジェ など
展示会を終えて
「サイン&ディスプレイショウ2025」では、予想を超える大きな反響をいただき、会期中から多くのお問い合わせ・ご相談を頂戴しました。
当社のAM技術ならではの自由度と再現性が、サイン&オブジェ制作における新たな選択肢として受け止められたことを強く実感しています。
当社では、お客様が技術壁に阻まれ諦めていた表現やデザインを確かな形にするパートナーとして可能性を広げてまいります。
展示内容や各事例についてのご相談は、ぜひお気軽にご相談ください。



