アジアから世界へ!未来を創る山一ハガネグループ①:Globaltronic Group編
――Globaltronic Group取締役 寺西雄祐に、Globaltronic Groupの事業内容、国際ビジネスの難しさなどについて直撃インタビュー!
Globaltronic Group
取締役 寺西雄祐
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山一ハガネ入社までの経歴を教えてください
大学卒業以前から山一ハガネに入社して頑張りたいという強い思いがありました。
その中で、まずはしっかり金属加工技術を学びたいと考え、大学卒業後に工作機械メーカーの安田工業に4年間勤務させていただきました。
安田工業は、工作機械の中でも「マシニングセンタ」の製造を行っているメーカーです。
機械メーカーが工作機械を製造するために、YASDAの機械を購入して部品を作るケースもあるので、モノづくりの基盤を支える重要な役割を果たす存在として「マザーマシン」とも呼ばれています。
ですから、安田工業は世界中から高精度な機械を取り扱うメーカーだという認識を持たれています。
その安田工業で1年目は機械課で切削加工の基礎技術を学び、2年目は生産技術課で図面の書き方、CAD/CAM、工程変更やコスト削減などについて学びました。
その後、営業技術課に配属され、お客さまの目の前で精密加工のデモンストレーションを行うという失敗できない環境でやりがいを感じながら過ごさせていただきました。
マザーマシンの魂である「最大ではなく最高を目指す」という経営理念と安田工業で学んだ経験は、今でも私の中で大切な宝になっていますし、活かされています。
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Globaltronic Groupへ赴任された経緯を教えてください
山一ハガネに入社後、技術開発センター「AEROV」で金属加工を学び、同時に海外関係の仕事にも携わりながら仕事を行っていました。
そのタイミングで山一ハガネがシンガポールのGlobaltronic Group(以下「GP」)をM&Aをしたこともあり、元々海外で働くことに興味があった私が赴任することになりました。
シンガポールに赴任した4年前はコロナ禍も重なり、本当に辛かったですね。
知り合いも友人もいなかったので頼れる人もいませんでしたし、何も分からない状態で赴任したため、とても苦労したのを覚えています。
毎日が勉強と学びでしたが、積極的にスタッフたちとコミュニケーションを取ることで少しずつ彼らとの信頼関係が生まれ、協力し合えるようになりました。
大変な時期でしたが、たくさんの人に支えられ一緒に乗り越えてきたので、彼らとの絆は深いものになっています。
GPの主な事業内容やシンガポールについて教えてください
GPは主に精密加工を専門としています。
医療関係のアイテムが60%、半導体部品が20%、航空機部品が15%、他には石油産業部品などのバランスで部品加工を行っています。
シンガポールのスタッフが約100名、マレーシアのグループ会社には約40名のスタッフが所属しています。
シンガポールは多国籍の国なので、スタッフはシンガポール人、マレーシア人、インド人、中国人など人種も様々です。
スタッフを見ていると、上下関係は厳しい感じがありますね。
国民性もそれぞれあるのでトラブルが起きた場合の個々の主張も強く、当たり前ですが日本人とは感覚が違うのを感じています。
異なる価値観や文化を持つ外国人と上手く仕事を進めるためには、「何をしてほしいのか」「どう動いて欲しいのか」を分かりやすく細かく指示する必要があります。
“気を利かせる”文化は日本独特の文化なのだと身をもって体感しました。
また、シンガポールは世界で一番物価が高い国とも言われています。
特に車を所有するのはとても大変です。
シンガポールには「5C」と言われるステータスを計るものがあり、Cash(お金)、Car(車)、Credit Card(クレジットカード)、Condominium(マンション)、Country Club membership(カントリ―クラブ会員)、5つ全てを持っていると、社会的地位が高いとされています。
私は……クレジットカードしか持っていません(笑)。
シンガポールは安全で綺麗な国ですし、日本人に優しいところもあるので生活はしやすいと思います。
印象に残っている出来事を教えてください
2023年にGPがシンガポールの中小企業のSNEトップ500に選ばれたことです。
GPのスタッフが毎日頑張って得られた賞なので、とても嬉しかったですね。
この勢いを止めず、次はトップ100を目指します!
ご自身についてどんな性格だと思いますか?
私は慎重な性格です。
そのため、何かを決断する前に確認作業を何度も行います。
大きな決断をする前には、その決断が今後どのような影響を及ぼすのかを何度もシミュレーションし、より良い結果に繋がる選択をするように心がけています。
チャレンジにリスクはつきものなので、「お客様にベストな選択肢は何か?」を判断基準に考え行動していますが、色々なシナリオを考えるのでとても疲れます。
でもそれは、お客様や会社、スタッフのことを考えての事ですから、やりがいの方が勝ります。
文化の違いによる国際ビジネスの難しさを教えてください
言語の違いやコミュニケーションの相違によって、誤解があるなど意思疎通の問題が生じることがあります。
また、ビジネス習慣なども異なるため、取引や交渉が複雑になり、時間やコストが増えることもあります。
国際ビジネスでは信頼関係の構築が特に難しいと感じています。
世界情勢や、地域の特性を理解して処理できる能力が必要ですし、適切に対応していかなければなりません。
「お客様の役に立つ」という山一ハガネ創業の志を胸に、困難である状況にもチャレンジし続けます。
ビジネスで最も重要な価値観とそれを実行するために心がけていることはありますか?
最も重要なことは「誠実さ」です。
例えば正直なコミュニケーション。情報を隠さず、嘘やごまかしをせずに真実のみを伝えます。
あとは約束を守ること。期限を守り、予定通り行動することですね。
人の意見や感情への配慮、責任の取り方も意識しています。
常に真摯な態度、誠実さ謙虚さを持って仕事に取り組むことを大事にしています。
私は海外でたくさんの経験をする中で、自分だけでは「信頼」は成り立たないことを経験しました。
信頼は相手があって初めて成立します。ですが、人間が相手のため感情の起伏が伴います。
ですから、その中で私が出来ることは自分自身が誠実に取り組み、振る舞うこと。
誠実さは私から発信するものなので、ビジネスにおいて自分ができる一番大切なことだと思っています。
仮に相手が不誠実だったとしても自分は誠実でありたい。
そうすることで正しい道を歩めるのではないか、という私の中の心がけでもあります。
「座右の銘」を教えてください
難しいですね…あえて言うなら「置かれた場所で咲きなさい」という言葉は社会人になってから意識しています。
これは「雨の日でも風の日でも自分が置かれた場所で強く根を張り、最善を尽くして大きな花を咲かせましょう」というような意味です。
例えばシンガポールに来て最初は何も分からない状況だった私ですが、自分の置かれた環境の中で目の前の仕事に一生懸命取り組み、最善を尽くして努力しました。
まだまだ私は修業の身ですので、その言葉が今の私に一番合っていると思います。
寺西社長は「Let's begin!」が座右の銘で、私もそういった前向きなものを見つけたいですが、もう少し時間がかかりそうです(笑)。
次回、YAMAICHI SPECIAL STEEL VIETNAM編に続く(7月中旬頃公開予定)