YS-BLADES(YSブレード) “YS”の由来

———山一ハガネがブレード開発を始めたのは、偶然ではなく必然だった

株式会社山一ハガネ

YS-BLADES

■世界に羽ばたいたYS-BLADES

3回転、4回転などの高度なジャンプが主流となった近代のフィギュアスケート。
そんな世界で活躍するフィギュアスケーター達の足元を支えているのが、山一ハガネの作るYSブレードである。
そのYSブレードの“YS”とは一体どこから来ているのだろうか?

■名前の由来は2つあった

”YS”は、山一ハガネの社名から来ている。「YAMAICHI SPECIAL STEEL」を略し、“YS”だ。
SPECIAL STEELとは、特殊鋼の意味である。

そして、「ヤスキハガネ=YASUKI SPECIAL STEEL」の“YS”。
「ヤスキハガネ」は、刃物鋼で有名な島根県安来市で作られている、高級特殊鋼のブランド名だ。山一ハガネは古くからその特約店なのだ。

ハガネのルーツをさかのぼると、千年以上の歴史をもつ“たたら”にたどり着く。
たたらとは、原料となる砂鉄を、木炭の燃焼熱によって長時間かけて還元し、良質で強靭(きょうじん)な鉄を得る。これが日本古来の製鉄法「たたら」で、一度の操業につき8tもの砂鉄と13t余りの木炭を入れ、溶融させていく。この時「ふいご」と呼ばれるシーソーのような大きな板を職人が交互に踏んで空気を送り込み、炉内の温度を1000℃以上の高温に保つのだが、この作業を三日三晩、休みなく行う。

その70時間余りの間に、砂鉄や木炭のかすは“ノロ”として排出され、鉄分は炉の底で“けら”という塊となる。屋外に取り出された“鉧(けら)”は約1ヶ月かけて破砕、分別され、不純物を取り除いて、ようやくハガネが姿を現す。
最も良質な部分を「玉鋼」と呼び、日本刀の材料として、それ以外は武器・農機具・調理器具など日用必需品に。
まさに金属製品の母として幅広い用途に用いられるのだ。

実際の「玉鋼」

時代とともに西洋製鉄が主流となり、途絶の危機もあった「たたら」だが、良質な砂鉄に恵まれている島根県の奥出雲にて、日立金属安来工場などの協力のもと「たたら製鉄」として復元され、今もなお日本刀の原料として玉鋼を生み出している。

玉鋼から作られた日本刀は「折れない・曲がらない・よく切れる」を特徴とし、その鋼づくりの魂がヤスキハガネのルーツとなっている。

「折れない・曲がらない・よく切れる」日本刀

■フィギュアスケートとハガネの出会い

高度なジャンプが主流となった近代フィギュアスケートで、「折れる・曲がる・刃研ぎが頻繁」といった問題を抱え続けるブレードと出会った山一ハガネが日本刀をイメージしたのは必然である。
フィギュアスケートが盛んな名古屋で、半世紀以上ヤスキハガネを扱う山一ハガネが、とことん品質にこだわった「折れない・曲がらない・刃持ちする」ハガネのブレード開発を始めたのは、単なる偶然ではなく、運命だったのかもしれない。

「折れない・曲がらない・刃持ちする」YSブレード

■YS-BLADESを見守ってきた社長の思い

開発から完成、世界に羽ばたくまでに9年という長い年月がかかったYSブレード。
とても長い期間だったが、ずっと日の目を浴びるのを待っていた。

靭性があり、羽のようにしなやかなブレード。ひとけりの伸びが違うのだ。
とてもニッチなものではあるが、「よいもの」を届ける。そこにはプライスレスな価値が詰まっている。

山一ハガネの社長・寺西は
「フィギュアスケート選手の世界での活躍を支えることができてうれしい。
結果がすべてではなく、YSブレードの価値を理解し、愛用してくれることがうれしいんだ。」そう笑顔で語った。

YSブレードを持ち笑顔で話す山一ハガネ社長・寺西(写真左)

ハガネへの思いが込められたYSブレードは、今後もハードなジャンプを跳ぶ一流フィギュアスケーター達を、そのしなやかな強さで支えていく。