生産材事業のトップ二人が語る山一ハガネの未来

生産材Groupをリードする、下坂勇介 グループ・マネージャーと鈴木純司 営業セクション・チーフ・マネージャーに直撃取材!!

株式会社 山一ハガネ
生産材Gr. グループ・マネージャー
下坂 勇介

株式会社 山一ハガネ
生産材Gr. 営業Sec. チーフ・マネージャー
鈴木 純司

■生産材の業務について、その概要と大きな仕事の流れを教えてください。


下坂:ビジネスはまず、営業活動から始まります。生産材グループの主な仕事の流れはメーカーから仕入れて材料を保管し、お客様の必要な量を必要な時に納めることです。山一ハガネは商社ですが、物の売買だけではなく材料を保管する倉庫機能も持ち合わせています。

メーカーは製造に徹しているため、材料を販売してくれる存在が必要になるので、山一ハガネがその役割を担っています。とはいえ、単なる売り子というわけではありません。メーカーには生産ロットや納期等があり、注文してから2~3ヵ月後の納品は当たり前で、発注した時点で明確な納期が確定することがありません。一方で、材料を使うお客様は、使う材料を使う量だけすぐ欲しい。そこが、この鉄鋼業界のマッチングしないところです。そこで私たちがその間に入り、双方の動向を調べ、随時情報を交換しながら調整して橋渡し役を務めています。

メーカー様、お客様と密な関係を築き、事前に材料を発注しその材料を倉庫に保管することで、価格も含めた材料の安定供給を行っています。つまり、メーカー様の営業機能、お客様の調達機能の両方を担っています。

また、生産材の材料は種類が多く、工具鋼の材料と違いメーカーもたくさんあります。帯鋼メーカー、ワイヤーメーカー、磨棒引き抜きメーカー、棒鋼メーカーなど細かく分かれており、それぞれのメーカーで山一ハガネが特約店になっています。

■生産材事業における、山一ハガネの強みとはなんですか?


鈴木:まずは、『人』ですね。『人が若い』というのがあります。同業他社の多くで営業の平均年齢が50歳を超えているなか、山一ハガネは20代30代の営業が多いので、特にメーカーの方からは魅力的に映るようです。お客様からも先が見えるので安心できる、というのはよく言われます。

下坂:『人が多い』ところも強みです。社員が多いというのは、この先長期的に考えても魅力的に映ります。人が少ないとやれることに限りがありますし、橋渡し役は人がやらなければいけない部分が多いですから。

鈴木:同規模の同業社は他にもありますが、全国に点在する拠点を合わせて同じくらいなので、流通業で単体の拠点に200人以上いて、この規模の売上げがある会社は、全国を探してもここしかないと思います。

下坂:もうひとつの強みは、『多種多様な材料を扱っている』ところです。同業他社は、ワイヤーならワイヤー専門、帯鋼なら帯鋼専門など特化している会社が多いなか、山一ハガネでは様々な種類の生産材だけでなく工具鋼も扱っているうえ、熱処理、精密加工、AM事業、CASTといった先端事業も展開しているので、うちに訊けば何とかなるとお客様に思っていただけることが多いですね。

生産材で言うと、同じ材料でもメーカーによって値段も違えば品質も納期も違います。私たちは長い歴史の中で築いてきた多くのメーカーの方々との繋がりがあるので、お客様の希望に応じてこの場合はこちらのメーカーはどうですか?といった提案ができます。それだけ情報を持っているので、様々な層のお客様に対応できます。ここが提案力で他社との差が出るところです。

鈴木:対応できる領域が広いのです。逆にいうと、断れない(笑)。ワイヤー専門の会社であれば、切削品の話が出ても切削品のことはわかりませんと言えますが、うちは金型などの加工品も扱っているので、簡単には断れません。

生産材のお客様でも、金型を製作しているプレス屋さんであれば工具鋼の材料を、ネジを製造していればネジの材料を売りに行きますし、金型の加工の依頼があれば請けます。お客様が材料ごとに全部で数社に依頼する必要がある場合でも、山一ハガネに頼めば1社で完結できるという仕組みは出来ています。全部一緒に納品できますよ、という提案ができるのも強みです。

■お二人それぞれの営業哲学があれば、ぜひ聞かせてください。


下坂:『往生際は悪く、ポジティブに』ですね。簡単に言うと、お客様からの問い合わせや依頼は分からなくてもできなくても、絶対に断らないということです。

私は固定概念で仕事をしません。NOと言ったらそれで終わります。何ができるかを考えないとその先が広がらない。代替案はないか、他に詳しい人はいないかを探求していくことで、先が広がっていきます。

往生際が悪いかもしれませんが、無理だとしてもできないと言いたくない。だから、必ず何らかのフィードバックをします。愛知県の特性かもしれませんが、この地域では密な関係を築き上げ、歴史を積み上げていき、簡単には切れない絆を結んでいくというところがあります。ですから、あまり顔を出さない、喋ったこともない、すぐ断るような営業には、チャンスは巡ってきません。お客様もわからないから、私たちを頼って問い合わせてきます。その第一声が断りの返答だったとしたら、どう思いますか?まずは、お客様の困りごとをしっかり聞く。そうでなければ、こちらの話も聞いてもらえません。お客様の話に耳を傾けるからこそ、いざというときに、私たちの頼み事の話も聞いてもらえる。

自分たちが売込みたいときだけに現れる営業は嫌われます。だからこそ、私たち各営業は普段から先々に顔を出し、連絡をいただける関係をつくり、会話をしていく。そうして、やっと見積もりや引合いをもらえるようになります。それがもらえなければ、商売は始まりません。ですから日々の営業活動が大事なのです。

メーカー様の場合も同じで、代わりに材料を率先して販売してくれる、信頼できる特約店を推薦します。メーカーの方々としっかりとコミュニケーションを取らなければ、材料を更に拡販していくことは難しい。そういった面からも、日々の活動が大事です。ライバルの特約店は多々ありますから、さぼった分だけ差がでます。地道な努力が実を結ぶのです。

ビジネスも、結局は人です。会社としての信頼も必要ですが、お客様やメーカーの方との信頼関係を築くには、営業活動をする営業の社員が本当に要で、受け答えがしっかりしていて喋りやすいとか、素早く動いてくれるとか、愛されることが重要です。でも、そういう人が1人だけではダメです。だから、生産材グループ全体で、信頼を深めていくために頑張っていくつもりです。


鈴木:私の場合は、『投げられたボールは必ず返す』ですね。お客様からの見積もり依頼は、高額なものや山一ハガネが扱っていないものでも必ず全て返します。諦めないというか、難しいと分かっていてもまずは受けて、間違ってもいいから答えを返す。そうしていると、そのうち山一ハガネが得意とする材料の見積りが回って来る。そのときには、絶対に掴み取りに行きますよ。見積りが来て他社との取り合いになった時は、強いですね。

その秘訣と言うほどではないですが、日ごろの営業活動が鍵になっています。信頼を得るためには日々の努力が大切です。私も同じく、お客様にもメーカーの方にも基本はNOとは言いません。NOと答えてしまうと、次の話は来ませんから。

困りごとがあるときが、チャンスです。もちろん、難しい場合はお断りすることもありますが、一旦はボールを受取り何かしら代替案を考えてからボールを返すので、キャッチボールはできているわけです。これができない営業が多いようで、きちんとボールを返すだけで私の評判がすごく良くなったりします。コミュニケーションって本当に大事ですね。

あとは、山一ハガネで扱ってないものを訊かれて調べることにより、どこで何を扱っているのかがわかります。1回調べると記憶に残るので、同じような問い合わせが来たときに、どこで扱っている材料かを教えることができます。その時は利益にはならないのですが、そういう対応を繰り返し行っていくと、最終的に山一ハガネの利益に繋げられるのでは、と思います。

■生産材グループの材料のうち代表的なものを教えてください。また、それぞれどういった部品等になって、最終的に主に何に使われますか?

帯鋼
線材
棒鋼

下坂:私たち生産材部隊の目的は、製造メーカーの方々のサポートをすることなので、材料を拡販して売ることに徹しています。扱っている代表的な材料は 、帯鋼、線材、棒鋼です。山一ハガネが納品した材料は、お客様のところで最終的には主に自動車、精密機器、工具などに使われる部品や製品などに加工されます。

線材だと、コイルばね・線曲げ物・リングなどの部品、帯鋼だとプレス・フォーミングなどで加工されて、皿ばね・板ばねなどの部品に使われ、棒鋼だと、シャフト・ネジ・バルブなどの部品に加工されることが多いですね。

引きばね
ワッシャー
ねじシャフト
スナップリング

■最後に、生産材事業に対する、お二人の熱い思いや意気込み、もしくは今後の夢を語ってください。


下坂:全国制覇して、日本中に山一ハガネの旗を立てたいですね。夢を語っていいのなら、私の代で全国制覇を成し遂げたいです。生産材は新たな顧客への新規参入が難しい商材です。とはいえ、チャンスはあるし可能性はゼロじゃない。逆に言えば、継続受注できていた分野も奪われてしまう可能性もあるので、競合他社に負けないようにしなければいけない。引き継いできたものを絶やすことなく、絶対に生き残って、さらに拡販させて次へと手渡していきたいです。

これからは人材不足も相まって、競争がさらに激化していくと思います。幸い山一ハガネは、YS BLADESなどの宣伝効果のお陰で人材は集まっています。同時にお客様やメーカーの方も、以前よりもご来社いただけるようになりました。材料倉庫の他にブレードや3Dプリンターなど、お客様にお見せできるものが多いので、面白くて魅力があると足を運んでくれるお客様が多くいらっしゃいます。運がいいとそこから宣伝してくれて、口コミで広がっていくこともあります。人が来るということは、それだけ情報も商売の話も入ってきますからね。今後は、既存事業に加えて新規事業もどんどん推していきたいです。

鈴木:もうすぐ山一ハガネは創業100年を迎えます。まず目指している目先の目標は、山一ハガネを外側も内側からも、今よりさらに元気に盛り上げて、100周年目を迎えることです。そうすることで、人がさらに集まる会社にしていきたいですね。

あとは、新人教育等に力を入れていることもあり、人が辞めない環境を作っていきたいです。現在、生産材グループでは連携を取って皆で協力して仕事を行っています。やはりどうせ働くなら楽しく働いてほしいので、労働環境をなるべく充実させてあげたいと思います。